3月3日は上巳(じょうみ、じょうし)の日といいます。これは、古代中国の暦にしたがったもので、五節句の一つです。
五節句は1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日の日にそれぞれ厄を払う日として定められたものです。なかでも3月3日は、女の子の節句として、ひな人形と桃の花を飾る風習が定着しています。
なぜ、女の子の節句なのか、なぜ桃の花を飾るのかを解説しましょう。
ひな祭りに桃の花を飾るのはなぜ?
旧暦の3月3日は、現代の暦でいうと3月末から4月の始めに当たります。ちょうどこの時期、梅の花が咲き終わり可愛いピンクの桃の花が咲く時期になることから、3月3日は桃の花の節句として定着しました。
春の訪れとともに咲き、春の季語でもある桃の花は可愛い女の子のお祭りにぴったり合った花といえるでしょう。
桃は2500年ほど前に中国で栽培が始まり、日本には弥生時代に中国から伝わりました。日本でも古くからいろいろな文献に記述があります。
桃の花は美しいだけではなく、厄除け、魔除け、長寿をもたらすパワーがあるとされています。桃の持つ不思議な力によって人々が救われたという伝説はたくさんあり、このことか生命力の象徴である桃の花をひな祭りに飾るようになったのです。
桃の実が成るのは夏で、3月3日の節句に食べることができませんが、桃の実も女の子の健康と成長を願うひな祭りと深くかかわっています。
桃の果肉は食物繊維を多く含み、老廃物を排出する効果や便秘を解消することも期待できます。桃の葉は、あせもやただれ、日焼けに効き、入浴剤や化粧水として子供にも適しているといわれます。
桃のタネからは桃仁という漢方薬が作られ、婦人病などの疾患に効能があるとされています。花だけでなく葉や実、種まで女性のための植物なのです。
ひな祭りの飾りには、実をつける桃ではなく鑑賞用にきれいな花を咲かせるようにしたハナモモがつかわれます。ハナモモの花は、実桃に比べて少し大きく八重桜くらいの大きさで、桃色、白、赤などの色があり、可憐で華やかな雰囲気を演出します。
枝を埋め尽くして咲く花は、すくすくと育つ女の子を象徴するものといっていいでしょう。
ひな祭りに桃の花を飾る時の正しい飾り方は?
現代の暦で3月3日のあたりは、まだ桃の開花時期ではなく、つぼみの状態で販売されます。桃の花を買ったらしっかりとした下準備をして花を咲かせるようにします。
扱いでまず注意することは、つぼみを触らないということです。桃のつぼみは非常に繊細で衝撃に弱く、触ったり振ったりすると、枝からぽろぽろと取れてしまいます。桃の枝の部分をもって扱います。
花瓶はツボのように水がたくさん入るもの、または細長い円柱状の花瓶を使います。底の浅い円盤状のものはNGです。桃の枝は背丈が高いことが多いので、ひっくり返らないように重心を低くして安定させることが重要です。また、水位が深いほど水圧が高くなり枝が水を吸い上げるのを助けますから、深い花瓶を選ぶことです。
花屋さんで買った桃の枝は、すでに水あげが施されていますが、原産地で買ったものや、時間が経って元気がなくなった枝には、もう一度水あげが必要になります。桃の枝は根元割りという方法で行います。
枝の根元を割って裂け目を作って水を吸い上げやすくします。切り口を作って吸水面積を広げて水を吸いやすくするのです。
ひな祭りには桃の花を生けよう!
ひな祭りに桃の花を飾るのは、日本のゆかしい伝統行事なので女の子のある家庭では必ず飾るようにしましょう。家庭の事情でひな人形がなくても、桃の花を飾るだけで節句の気分が味わえるものです。
正式には、ひな人形の脇か床の間に飾りますが、住宅事情が許さなければ食卓のテーブルの上に飾ってもいいのです。
桃の花は一種差しといって、一種類だけ生けるのがおススメです。その方が管理も楽でで長持ちしやすいからです。一か月先に開花時期を迎える花なので、温かいところに置くことが必要ですが、暖房の風が当たるところや直射日光は禁物です。
朝晩に霧吹きで水を補給すると長持ちします。
まとめ
桃の花をひな人形のそばに置くだけで春が来た風情が増します。場所が無ければ食卓に飾ってもいいです。近くの花屋さんで桃の花が無かったら、ネットで購入することもできます。
今年の節句は、ぜひ桃の花を飾りましょう。