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エルニーニョ現象とラニーニャ現象をわかりやすく! 覚え方や語源は?

エルニーニョ現象、ラニャーニャ現象って知っていますか?

ウェザーニュースなんかで聞くこともあるこれらの現象ですが、日本の天候にも大きく影響する現象なんですよ。

そこで今回は、そんなエルニーニョ現象とラニャーニャ現象についてわかりやすくご紹介していきます。覚え方やその語源もお伝えしていきますよ。

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エルニーニョとラニーニャの違いをわかりやすく説明する方法!

気象というのは海面水温によってとても大きく左右されます。

エルニーニョ現象やラニャーニャ現象は、「海面水温が平年と比べて高い」、「海面水温が平年と比べて低い」これがポイント!

  • エルニーニョ現象…太平洋の赤道付近日付変更線のあたりから南米ペルー沖の海面水温が、平年よりも高い状態が1年程度続くことをいいます。
  • ラニャーニャ現象…太平洋の赤道付近日付変更線のあたりから南米ペルー沖の海面水温が、平年よりも低い状態が1年程度続くことをいいます。

学生時代に学んだ偏西風や貿易風といった名前、覚えてますか?

エルニーニョ現象やラニャーニャ現象は貿易風の以上で起こる?!

地球の上空では常に決まった向きに風が吹いています。
これを「恒常風」と言いますが、赤道付近では「貿易風」という東寄りの風が吹いています。

この「貿易風」がいつもよりも弱く吹くというのが1年ほども続いた時の状態を「エルニーニョ現象」、逆に強く吹くというのが「ラニーニャ現象」です。

貿易風 通常の状態

通常、「東風(貿易風)」は太平洋の熱帯付近の暖かい海水を西へ西へと運んでいます。

すると暖かい海水は太平洋の西側、インドネシア辺りに吹き寄せられ溜まってきます。

反対に暖かい海水が西へと追いやられた太平洋の東側では、地球の自転の関係で、海の深いとこらから冷たい海水がどんどん湧き上がってきます。

順繰りに冷たい水が上がってくるというわけですね。

つまり海面海水の温度が西側では高くて東側では低いという状態が、太平洋の赤道付近で起こるということになります。

太平洋の西側、インドネシア付近の海面は温められることで蒸発が盛んになり上昇気流が発生、積乱雲をもくもくと生じさせます。

これがいつもの状態になります。

エルニーニョ現象の時の東風

しかしどういうわけかこの「東風」の勢力が弱まる時があります。

そうすると、ペルー沖の暖かい海水を西へと運びきれず、むしろ西側の暖かい海水が東側に広がり、東の冷たい海水の沸き上がりにセーブが駆かります。

これにより、太平洋熱帯付近の中部から東側にかけて、海面海水の温度がいつもより高い状態になります。

海水が蒸発して積乱雲を作る地域は、いつもの西側よりも東に移動します。

反対に太平洋熱帯域の西部では海面海水温は低くなり、これが「エルニーニョ現象」です。

ラニーニャ現象の時の東風

「ラニーニャ現象」はこれとは逆で、「東風」の勢力が通常よりの強まることで起きます。

「東風」がいつもよりも激しく吹いてペルー沖の暖かい海水を西へと押しやり、太平洋の東部では冷たい海水がどんどん湧き上がってきます。

その勢いが強力なため、太平洋の赤道付近の東部から中央部にかけてまでいつもより海面海水の温度が低くなります。

一方、太平洋熱帯域の西部のインドネシア付近では海面海水温は高くなり、積乱雲が通常よりも多く発生します。

なぜ貿易風に強弱が起こるの?!

では、なぜ貿易風が弱まったり強まったりするのかですが、これについては現在のところ分かっていないそうです。

しかし、このような変化が周期的に起こるということは観測上わかっていて、「南方振動」と呼ばれています。

つまり、弱まった後には必ず強まるというわけで、「エルニーニョ現象」の後には「ラニーニャ現象」が続いて起こるということになります。

振り子が一方に強く降られたのをなおそうと反対方向に揺れ戻すのと同じですね。

エルニーニョ現象やラニャーニャ現象の日本への影響

では、日本への影響はどうなのかということですが…。

ここ何年か「異常気象」という言葉を頻繁に耳にし、今や「異常」ではなく「通常」になりつつあるという変な感覚になっています。

異常気象の核をなしているのが「エルニーニョ現象」とも言われます。

エルニーニョ現象の問題は

  • 海面海水温
  • 海面海水温の高いところで発生する「積乱雲」

通常では、太平洋西部の熱帯域、インドネシア付近で海面海水温は高くなり多くの積乱雲が発生します。

しかし「エルニーニョ現象」が起きている状態では、海面海水温は低いままで、積乱雲の発生はインドネシアよりもずっと東側に移動します。

太平洋熱帯域の気圧配置は、いつもなら西部に低気圧、東部に高気圧ですが、「エルニーニョ現象」が起きている時は、西から高気圧―低気圧―高気圧といった具合になります。

インドシナ・フィリピン沖ではいつもなら上昇気流が起き、西から東へ吹く偏西風を北へと押し上げ太平高気圧の場を広げます。

この太平洋高気圧は「北太平洋高気圧」と呼ばれるもので、日本の夏を夏らしくしています。

しかし「エルニーニョ現象」が起きている時は、この地域で上昇気流が起きないので偏西風を押し上げることができません。

偏西風は押上られず蛇行していきます。

そのため、「北太平洋高気圧」の張り出しが妨げられ気温は低くなり日照時間も短くなります。

これが、いわゆる「冷夏」です。

太平洋西部、インドシナ付近での対流活動も不活発になり、西日本の日本海側では降水量が増加、梅雨がだらだらと続くことになります。

いつ開けたのかもはっきりせずに、どんよりとした夏がいつのまにかやって来ていたなんていう年は、エルニーニョ現象が影響しているというわけです。

エルニーニョ現象が暖冬に影響?!

反対に冬は「暖冬」になります。

よく冬型の気圧配置として「西高東低」というのを聞きますよね。

これは冬になると北西からの冷たい季節風が日本に吹きこむからです。
冷やされた空気は重くなるので、下降気流ができて高気圧が発生します。

西に高気圧、東に低気圧があって、日本海側はたくさんの降雪、太平洋側はカラッと晴れた天気が続きます。

西から東への空気の流れとともに、高い山脈にぶつかった重く冷たい空気が日本海側で雪を降らせ、身軽になって山々を超え太平洋側へやって来るためですね。

ところが、エルニーニョ現象が起きている時にはどうなるかというと、この「西高東低」という気圧配置が弱まってしまいます。

西よりの偏西風は蛇行させられ、冷たい寒気は下がらなくなります。
そのため、冷たい空気の流れが鈍るので「暖冬」になります。

ラニーニャ現象の時はどうなる?!

「ラニーニャ現象」が起きている時には逆ですから、夏は「猛暑」であり冬は「厳冬」です。

こうしてみると、「エルニーニョ現象」が起きている時は、日本では比較的過ごしやすい気象状態になるということがいえます

しかし、西日本での大雨は、国土の四分の三を山地が占める日本にとっては大打撃であり、土砂災害など深刻な被害をもたらします。

また、世界の他の地域では記録的な干ばつや洪水の原因にもなっていて、注意が必要です。

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エルニーニョ現象とラニーニャ現象の覚えかたのポイントは?

覚え方のポイントは、

  • 貿易風が弱くなってペルー沖の海水温が高いままなのが「エルニーニョ現象」
  • その反対に、貿易風が強くてペルー沖の海水温がどんどん低くなるのが「ラニーニャ現象」です。

流れを見ていきましょう。

エルニーニョ現象は冷夏・暖冬になる

東寄りの貿易風が弱まる

暖かい海水を西へ押し出すことができない

暖かい海水は太平洋赤道域の中部・東部にたまる

中部・東部に低気圧発生

太平洋西部には下降気流ができて高気圧が発生

太平洋西部の高気圧が邪魔で南からくる太平洋高気圧の張り出しが鈍る

→日本の夏は冷夏

同じように、冬には偏西風が蛇行して「西高東低の気圧配置」が不安定

→日本の冬は暖冬

ラニーニャ現象のときは酷暑・厳冬になる

東寄りの貿易風が強まる

暖かい海水がどんどん西へ

暖かい海水がどんどん太平洋西部にたまる

太平洋西部にいつもより多く低気圧が発生、積乱雲をどんどん作る
太平洋西部には強力な低気圧

太平洋高気圧が大きく張り出す

→日本の夏は酷暑

冬にはシベリア高気圧の勢力が強まり西高東低の気圧配置になるいつもの状態が、さらに強まる

→日本の冬は厳冬

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、貿易風が弱くなったり強くなったりで海面海水温が変化し、低気圧を発生させ積乱雲を作る位置がずれてしまう。

日本から遥か南東、ペルー沖の海水温の変化が日本をはじめ世界中の気象に影響を与えるのですから大変なことです。

原因は「貿易風(東寄りの風)」が通常よりも弱いか強いかということ。

その違いが世界中の気象に変化をもたらすのかと思うと、地球はやはり一つで繋がっているということを実感させられます。

エルニーニョとラニーニャの語源は何?

すっかり定着した“エルニーニョ”という言葉ですが、スペイン語で「男の子」を意味します。

元々はペルー北部の漁師さんたちが12月の末に時々現れる「小規模の暖流」を指して言いました。

ちょうどクリスマスの時期ということもあり、この場合普通の「男の子」ではなく、大文字で書いてエルニーニョ=「幼子イエス=キリスト」を表します。

“ラニーニャ”の方はスペイン語で「女の子」という意味です。

“エルニーニョ”と反対の現象なので“アンチエルニーニョ”とされていたそうですが、
「イエス=キリスト」に“アンチ”なんておかしいですよね。

で、「男の子」に対するということで、「女の子」=“ラニーニャ”になったそうです。

日本の気象にとってはわりと過酷な影響をもたらす“ラニーニャ”。

気の強い「女の子(ラニャーニャ)」に対して、さすがに「幼子イエス=キリスト(エルニーニョ)」は「冷夏」に「暖冬」と、慈悲深い感じがします。

まとめ

三大洋の中でも最大の太平洋の西部に位置する日本。

太平洋東部赤道付近を吹く貿易風(東寄りの風)がいつもより弱くなり、ペルー沖の海面海水温がいつまでも高いままなのが「エルニーニョ現象」。

その逆で、貿易風(東寄りの風)強くなり、ペルー沖の海面海水温が低くなるのが「ラニーニャ現象」。

遥か太平洋の東、赤道付近の海水温の違いが「異常気象」の原因というのは驚きです。

あらためて生きている地球の壮大さに感嘆せざるを得ません。

「エルニーニョ」はスペイン語で「幼子イエス=キリスト」を「ラニーニャ」は「女の子」のこと。

「異常気象」をもたらすわりにはかわいらしい名前ですが、大人たちを大変困らせるということでは的を得ているということでしょうか。

どうかほどほどに、と願わずにはいられません。

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