お正月には欠かせない鏡餅ですが、その飾り方に悩んでいる人が多いと思います。二段と三段ではどちらが正しいのかという疑問もその一つです。
最初に答えをいってしまえば、どちらも正しい、地方によって家庭によって、それぞれの飾り方があるということです。
しかし鏡餅にはこれだけではなく、いろいろな風習やマナーがあります。それについての知識を解説しましょう。
鏡餅の由来ってなんなの?
日本の伝統である鏡餅は、穀物神である歳神さまに供えたものであり、神さまの依り代です。
鏡餅という名前の由来は、古代の鏡の形に似ていることから来ています。古代の鏡は青銅製で神事に使われていました。
この風習は平安時代にはすでに存在しており、源氏物語にも書かれています。現在のような形になったのは、床の間ができた室町時代以降だとされています。
商家ではお正月に蔵開きという風習がありましたが、武家では具足餅といって鎧などに供えたお餅をお雑煮にして食べる風習があり、女性は鏡台にお供えしたお餅を開く初顔を祝うという習慣がありました。
この風習が、江戸時代には一般化して、鏡餅の習慣になったのです。江戸城内の大奥では、重箱に詰められたお餅と餡が配られて、お汁粉などにして食べたといいます。
鏡餅の二段と三段の違いってなんなの?
多くの地方では二段飾りですが、関西地方では三段飾りのところもあります。
もともとは三段飾りだったものが、時代の変遷で二段になったという説もあります。
これも地方によって違いがあり、串柿がないところやゆずり葉をはさむなどいろいろな変化があります。
最近では、利便性と衛生を考えて、スーパーやコンビニなどで、ポリエチレン製のケースに入れたものも売られています。これは乾燥したりカビが生えないので、衛生的です。
白餅だけじゃない紅白の鏡餅もあるんです!
石川では二段の片方を縁起が良いとされる紅色に染めたもので、紅白に飾ります。
また、地方によっては餅の代わりに砂糖を材料にしたもの、細く伸ばした餅を渦巻きに丸く巻いてトグロを巻いた白蛇に見立てたものなど、いろいろな種類があります。
今では橙が手に入りにくくなっているので、ミカンで代用することもあります。
何日から何日まで飾るか?
鏡餅を飾るのは一般的には、12月28日までがいいとされています。29日は9という数字が苦を連想させ、30日はキリのいい数字なので嫌われます。また、31日は一夜飾り、一夜餅といって縁起のよくないものといわれます。
早い分にはいつでもかまいません。
神さまへのお供え物なので、松の内には食べてはいけません。松が明けてから下げて食します。これを鏡開きといいます。
鏡開きは一般的には1月の11日におこないます。この時刃物を使うのは切腹を連想させて縁起が良くないとされ、木槌などで小さく割ります。
お正月を過ぎたお持ちは乾燥してヒビが入っているので、焼餅やお雑煮、お汁粉などにして食べます。カビが生えていたら捨てます。
浄土真宗など宗派によって習慣に違いがあるので、詳しい人や僧侶に確認します。
まとめ
都会では住宅事情などから、鏡餅を飾らない家庭も増えているといいます。しかし、日本の伝統行事ですから、ぜひとも絶やしたくないものです。
鏡餅がないとお正月が来た気がしないという人もたくさんいるでしょう。
分からないことがあれば、親や祖父母に聞きその地方や家庭に合ったやり方を学びましょう。